令和3年12月10日金曜日、令和4年税制改正大綱が発表されました。
予想されていた贈与税と相続税の一体課税は継続審議として先送りされました。
その他の改正は、すでに報道されていた住宅ローン控除の改正(1%→0.7%)と、所得拡大促進税制の拡充がメインとなります。
法人税関係の改正
賃上げ税制の改正(拡大)
〇中小企業向けの賃上げ税制
以前よりあった賃上げ税制の控除率が拡大されました。控除対象雇用者給与等支給増加額(≒前期から増えた給与の額)に対して下記の率の法人税を控除できます。
雇用者給与等支給増加率 1.5%以上 | 雇用者給与等支給増加率 2.5%以上 | |
教育訓練費増加率 10%未満 | 15% | 30% |
教育訓練費増加率 10%以上 | 25% | 40% |
控除額の上限は法人税額×20%になります。
仮装隠蔽行為に対する扱い
仮装隠蔽行為をした後、税務調査で仮装隠蔽行為を指摘され、修正申告・期限後申告等を行う場合には、この仮想隠蔽した取引に対する売上原価と費用の額等は各事業年度の所得の計算上、損金の額に算入しないことになります。
つまり売上の仮装隠蔽をした場合には(利益ではなく)売上に対して法人税等が課税されます。もちろんその他に重加算税等が課せられます。
令和5年1月1日以後開始事業年度から開始されます。
(所見)
所得拡大促進税制が拡大され、教育訓練費の要件を満たすと控除額が10%上乗せされます。
給与の増加率が1.5%の場合でも10%の上乗せが適用できると思われますので、今後ますます教育訓練費の計画的な支出が重要となります。
なお控除額の上限が法人税額×20%ですので、繰越欠損金により法人税が出ないor少額である場合には注意が必要になります。